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No.37 Vol.88 2017年11月号 ダーツバレルデザイン 野村 佳史

日本バレルデザインの先駆けとして

数々の商品を今までに発表して来た。

そのデザインは数えきれないほどだが

そのアイデアはどこから生まれるのか?

ダーツバレルで重要なこととは?

そしてついに自分のブランドを立ち上げた。

そのバレルはどんな商品か?

コンセプト、特徴は?

ダーツファンがどうしても知りたい

素晴らしいインタビューが実現した。

 

ダーツとの出会いについて教えてください。

 今から約33年前の20歳くらいの頃ですが、友だちの家でペーパーボードで遊んでたんです。そうしたら「近所に本物のダーツがあるよ」という話になったんですけど、その時は「本物のダーツって何だ?」みたいな感じでした。
 それで初めて投げに行ったんですけど、もうその日のうちにユニコーンのバリー・トゥモローモデルを買ってしまいました(笑)。当時で一万八千円くらいでしたね。

 

それはどこですか?

 兵庫県の加古川です。初めて行った店というのが、JDAの兵庫支部長のお店だったんです。

 

それからダーツ関係のお仕事に就かれたのですか?

 23〜24歳の頃はダーツの輸入卸の会社にいたんですが、当時の日本にはダーツを扱っている企業というのは2つくらいしかなかったんです。もうひとつの会社はアーチェリーが専門だったので、ダーツだけを取り扱っているのは僕がいた会社一つだけだったんじゃないでしょうか。


ではその頃からダーツの商品に関しては詳しかったわけですね。

 輸入のノウハウも分っていたので、会社を辞めてからはダーツの個人輸入なんかを始めました。プラケースに入れてダーツバーを回って、欲しい物があれば輸入の代行をしたりしていたんです。30歳の時に神戸に戻ったんですが、神戸や大阪のダーツバーに売りに行ったり、行商みたいなこともやってました。

 

ディーラー業に参入された頃はいかがでしたか?

 ディーラーを始めたのが38歳くらいの時だったんですけど、東京から神戸に帰って来てトーナメントにも出る機会が減っている頃でした。それまではハードばかりだったので、ソフトダーツというものが新鮮でしたね。
 自分で投げていても楽しかったし、ディーラーを始めたことによってソフトにも一生懸命になりました。ディーラーとしてはまた別の問題もありましたが、そこから5年間くらいはすごく楽しかったです。ちょうど右肩上がりの頃でしたからね。


現在はだいぶ状況が変わりましたがいかがですか?

 そうですね、ディーラー業も今はなかなか難しくて、なんとか維持してるみたいな感じですね。

 

プロ化されたこともそうですが、先日は日本で初めてのワールドカップが開催されました。ダーツ業界も変化してきましたが、昔と今とで一番の違いは何だと思われますか?

 ソフトでダーツ人口が増えたのと同時に、スティールに関してもすごく良くなってきたと思います。僕たちはPDJもやっていますが、日本人プレイヤーのスティールに対する関心の高さを肌で感じています。
 PDJが立ち上がったことは日本のスティールに多少なりとも貢献出来ているのではないでしょうか。PDCがマスターズで日本に来たり、WDFでワールドマスターズに行ったり、日本のソフトのトッププレイヤーがスティールを投げるのを目の当たりにする機会が増えました。
 日本のスター選手がスティールを投げることによって、ソフトのプレイヤーがスティールに興味を持つ様になっているのは素晴らしいことだと思います。僕たちは元々スティールから入っているせいかやっぱりスティールが好きなので、スティールのプレイヤーが増えてくれるのは嬉しいことです。ただ、日本人プレイヤーが世界でなかなか勝てないというのは懸念材料でもありますね。

 

野村さんは国産バレルを作られた先駆けのお一人でもありますが、バレルデザインを始めた頃のお話をお聞かせください。

 大阪でバレルを作ろうとしている人がいるから手伝って、という感じで森本(DMC森本社長)を紹介されたんです。「金属加工の会社をやってるんで、ダーツのバレルを作りたい」という話を聞いたのが始まりです。
 実は自分でも作りたいと思って、何年か前東京にいた頃にトライしたことがあったんです。当時はウィンドサーフィンの仕事をしていて、その道具を作るのに日本軽金属という会社と付き合いがあったんです。それで担当者に「タングステンというのは手に入らないのか」と訪ねたら、「手に入りますが、何トンくらい必要ですか?」と言われました(笑)。「いやいやダーツのバレルを作るだけなので、何キロという単位です」と言ったら「そういう仕事はしていません」と。今から25年くらい前になりますが、当時は国産バレルを作るなんて、全然お話にならないような時代でしたね。
 その頃から日本でダーツのバレルを作れないかということはずっと考えていましたし、自分でダーツを投げていて「ここの部分をもう少しこうできないか」とか「どうしてこんなにストレートばっかりなんだろう」とか疑問点がたくさんあったので、森本の話を聞いた時にこれは具体化できるチャンスだなと思いました。

当時のバレルは単純にタングステンを削ってカットを入れただけ、というような感じでしたよね。

 そうなんですよ。もし作るならこんなのがいい、あんなのがいいというのをずっと考えていたので、DMCをスタートする時にはアイデアがたくさんありました。だから最初に作った5タイプのデザインは全く悩まなかったです。

 

それはいつ頃ですか?

 2001年頃です。スタートしてから発売するまでに一年以上かかりましたね。

 

最初のデザインの基礎は何だったのでしょうか?

 ダーツを始めてからの十数年で溜まっていた、自分が投げたいと思っていたバレルのイメージが基礎ですね。当時の海外メーカーの8割はストレートで、カタログを見てもストレートじゃないバレルは1〜2種類だけでした。それが不満だったので、アイデアはいくつもありました。

 

様々な思いを最初の5種類にぶつけられたわけですね。

 既に10タイプくらいはアイデアがありましたが、まずは5タイプでいこうということになりました。全体的な配分も考えて、中にはストレートタイプも2種類入れたので、作りたいものばかりを入れ込んだわけではないんです。
 DMCで最初に出したホークやマーベリックは、自分が実際に投げたいバレルとして作りました。
 元々アメリカのレーザーダーツのブラックウィドウというのを使っていたので、それをアレンジさせて自分なりに投げ易くしたのがホークとマーベリックの2タイプ。その2タイプに加えるバラエティとして、ストレート2タイプとレイブンを作りました。

 

バレルデザインで最も難しい部分は何でしょうか?

 大きさに制限があるということが一番難しい部分だと思います。直径8ミリ×長さが50ミリ前後の限られたデザインスペースで、バリエーションを作らなければならないところですね。
 それから最初は加工技術も模索しながらだったので、森本と相談しながら「これは出来る、これは出来ない」というのを考えて、出来ることの範囲内で実現させなくてはならなかったのも苦労した部分でした。

現在では世界的に見るとありとあらゆるデザインが展開されているバレル市場の中で、さらに新しい物を考えて作っていくわけですが新しいアイデアは?

 そうですね。長さと直径で限られた中で出来ることというのは、もう出尽くしていると思います。そんな中で各メーカーは「今までに無いものは何か、目新しい物は何か」ということを模索している状況です。
 バレルには大きさだけではなくて、他にもいろいろな制限があると思うんです。先に一本刺さっているダーツがあって後からもう一本行くわけなので、後から投げた
ダーツが前のダーツにぶつかって落ちる様なことがあっては困りますよね。カットの形状にしてもそこを考えなければならないと思うのですが、中にはただ奇抜であればいいというようなデザインもあります。
 押し出しやすかったりグリップを強めにしたりという事と後から来るダーツのグルーピングを邪魔しないというのは相反する部分でもあるのでそのバランスにも気を付けなければならないですね。プレイの邪魔をする様なダーツというのは意味がないと思うんですよね。

 

DMCは完全なメイドインジャパンとしてデビューしましたが、かなり反響があったのでないでしょうか。

 そうですね。最初はかなり売れました。当時は他にメーカーもなかったし、やはり『国産』というのがプレイヤーを引きつけたんだと思います。

 日本でやるからには日本らしさとはなんだろうと考えて、やはり精密さや正確性だと思ったんです。それまで海外のダーツを扱っていましたが、三本のカットがバラバラなのは当たり前で「なんでこんなにいい加減なんだろう」と思っていました。ですから日本製を作るからにはそんなことがあってはならない、重さも0.1グラムまでピシッと合わせようというのにこだわりました。そんな製品は当時なかったですからね。

 

そして売れに売れたDMCですが、かなりコピーもされたと伺っていますが。

 確かにコピーはされたと思います。びっくりするくらいそのまんま、というのもあって驚きました。初期の頃DMCでも意匠登録するかどうか考えたんです。でもカットを一本増やすだけで関係なくなってしまうので、意匠登録しても意味が無いだろうということでしなかったんですよね。

 

もう仕方がないということでしょうか。

 仕方ないですね、もう避けようがないですし。コピーされることを名誉だと思うようにしました。

 

これが最先端のデザインなのかと世界が見ていたと思いますよ。

 それはどうか分かりませんが、当時は日本のバレルメーカーが海外に出て行ってなかったですからね。日本のバレルに興味を持ってインターネットで取り寄せる人もいましたが、日本の材料を使って日本で削るのでどうしても価格が高くなってしまって、海外に出すのは難しかったですね。

DMCが売れてからずいぶん経ちますが、その後メイドインジャパンを謳っていくつかのメーカーが追随して来ました。それについてはどう思われますか?

 いいことだと思います。でも今はどこのメーカーでも日本で削るということはやっていないと思うので、純粋に日本で作っているメーカーというのはほとんどないと思います。
 OEMでバレルブランドを立ち上げ易いというのもあるでしょうが、正直日本のブランド数というのは異常だと思います。ご当地バレルブランドみたいなものがたくさんありますが、それが良いのか悪いのか、僕にはよく分らないですね。

 

これまで意識してきたデザインとはどのようなことなのでしょうか?

 デザインする時に必ずやることは、サンプルを作った時にしばらく自分で投げてみることです。投げてみないとバレルの善し悪しがわからないですからね。

 でもバレルの善し悪しというのは投げる人に合うかどうかなので、自分が投げにくくてもそれを投げ易いと思う人もいるので、そこが難しいところなんです。そんなことも考えながら、しばらくの間必ず投げてみます。

完成までにはだいぶ時間がかかりますね。

 かかると思います。ストレートタイプだと僕自身は投げにくいんですけど、それでも投げています。いろいろなバレルを次から次に投げてるんで、自分のダーツがぐちゃぐちゃになっちゃうんですよ(笑)。
 あとはなるべく意味の無いカットは入れないということですね。出来るだけシンプルを意識してデザインします。
 複雑なカットをたくさん入れる方が買うプレイヤーには受けるのかもしれませんが、限られたスペースに細かいカットを入れ過ぎると摩耗するのが早くなると思うんです。ですから、ある程度最低限の厚みを持たせて出来るだけ摩耗しにくいカット、長く使えるカット、グリップが落ちないカットというのを意識しています。

 

見た目にも美しいデザインにこだわっていらっしゃるということでしたが。

 きれいな形というのも人それぞれだと思うんですが、やはり考えますね。投げてみてサンプルを作り直したりもしますが、投げることと同時にきれいなデザインに仕上がったかどうかというのも気にします。投げ易いけど不細工だというのは個人的にも嫌いなので(笑)。

 

現在はDMCだけではなくフリーデザイナーとして他の物も手がけているということですね。

 DMCの組織形態が変わったので、今では多少手伝っているという状態です。バレルデザインとしては、自分の「ストラト」というブランドを立ち上げたので、そこに注力しています。それからターゲット社からもご依頼をいただいて仕事をしています。

 

今後の商品などについてお聞かせ下さい。

 これだけのブランドが出ていてバレルのデザインというのは難しくなっていますが、まだ突き詰められるものがあると思っています。ストラトというブランドは神戸のプレイヤーのためと、あまり日が当たっていない地域のプレイヤーをブランディングする機会を持てたらということで始めたんです。ただそういうプレイヤー達がユニフォームを着てJAPANに出場するとなると、JAPANのメインスポンサーにならなければならないですよね。そうなると地域だけでとは言っていられず、売る努力もしなくてはならないので、そのあたりは難しいところなんですが。
 国内のプレイヤーに目を向けているストラトと同時に、ターゲットの仕事にも力を入れていきたいと思っています。
 世界中に市場を持っているターゲットから依頼を受けたのはとても嬉しいことです。自分がデザインしたバレルが、海外のプレイヤーの目に留まる機会があるかもしれないと思うと、また違ったやりがいを感じますね。

 

ストラトの特徴、商品説明をお願い致します。

 ストラトをやるにあたってはプレイヤーからいろいろな意見を聞きました。これはDMCではやらなかったことなのですが、国内のプレイヤーはもちろん、マレーシアや台湾のプレイヤーがどんなダーツを望んでいるかをリサーチして、スタッフの意見も取り入れながら展開しています。
 できるだけ似た様なバレルを作らない様に気を付けているので、現在販売している十数種類は違うタイプの物ばかりだと思います。この中でも自分に合うバレルが見
つけられるのではないかと思うので、ぜひ手に取って投げてみていただけたらと思います。

 

最後に読者にメッセージをお願い致します。

 バレルブランドは一体どのくらいあるのか、僕にも把握できないくらい有り余る程あります。でもその中で必ず自分に合う物があるはずです。トッププレイヤーモデルだけでないバレルが山のようにあるので、出来るだけたくさんの種類を投げてみて、自分に合う物を見つけてほしいと思います。

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