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No.1 2011年10月 最初のレポート… BDO WORLD MASTERS

はじめに 

 インターネットショップ「ダーツ屋どっとこむ」の店長をしています酒井と申します。これからNew Darts Lifeのウェブ・ページでコラムを書くことになりました。D-Crown・Perfectの大会には時間が合えばブース出展はせず、スポンサード選手の応援に。ハードダーツの大会には応援だけでなく自分も参加しています。昨年今年と海外の大会にも、日本代表選手のマネージャーとして行ってきました。今日本人で一番、ソフトとハード、国内と海外問わず、様々な試合を生で見ているのは私ではないかと思っているのですが、その辺の経験からコラムに白羽の矢がたったんじゃないかと自分では思っています。 選手の目とは違った、ダーツ好きなダーツショップ店長の目で見た事、感じた事を書いていきたいと思います。


BDO WORLD MASTERS

 今回は先日行ってきた、World Mastersについて書きたいと思います。World Mastersは世界で最も歴史と伝統のあるプロの大会で、これを主催しているのはBDO (British Darts Organisation)とゆうイギリスのプロ団体。Phil Taylorの活躍するPDC(Professional Darts Corporation)とは別の団体です。PDCは日本でも衛星放送で見る事が出来るので非常に有名ですが、BDOも実力者は揃っているんですよね。正直な所行く前はなめていたんですが、昨年初めて行って予想外のレベルの高さに驚いたんです。

 World Mastersは誰でも参加できるわけではなく、BDOのランキング上位者、各国の選抜選手しか出られない狭き門の大会なんですよ。今年そのキップを手にした日本人選手は、清水浩明・新垣繁彦・眞田修明・浅野ゆかり・大内麻由美の5名。


 大会はイギリスのHULLとゆう人口26万人の地方都市で行われました。昨年と同じ町で開催されたのですが、会場は昨年とかわっていていました。到着してビックリ!なんと、アイススケート場だったんです。スケートリンクの上に木の板をひいて、その上にダーツボードを設置しているんですよ。北海道くらいの寒さのイギリスでスケート場の中でダーツをするんですから、それは寒いですよ。日本人選手は先ず寒さとの戦いでした。会場では日本の大会のようにドリンクブースがありアルコール類やソフトドリンク等を売っています。アルコールを飲めば少し身体が温まると思うのですが、寒くて冷えたビールが飲めない。それほど寒いんですよ。慌ててホテルに戻り、買っておいたウイスキーを水割りにしたり、ワインをペットボトルに移して持ったきたり。下着や靴下も重ね着をしたり、試合ギリギリまでパーカーを着たり、日本人選手は様々な対応をしました。しかし、海外の選手の多くは慣れているんですかね?平気な顔しながらダーツ・ユニフォーム一枚で練習したり、ビールを飲んでいるんですよ。白人は寒さに強いんですかね、やっぱり。


 初日・2日目の予選会場はホールの1/4を仕切って日本の大会会場のような風景。本場の大会も最初のうちは非常に地味です。初日はWorld Mastersの予選。ノックアウト方式で負けたら終わりのトーナメント。男子はこの日16人が抜け残り、シード選手8人と含め24人が翌日からステージに。
女子は4人が抜け残りになります。男子は三人とも海外でのビッグトーナメントは初めての経験。外国人ばかりの中で多少雰囲気に馴染めない様子。清水選手は1回戦デンマークのVladimir Andersenに敗退。この選手あと1つ勝てばステージって所まで勝ち残る強豪選手でした。眞田選手は1試合勝って2回戦敗退。12ダーツを2回も決められ強さをみせつけられました。新垣選手は2回戦からでしたがフルセットの末敗退。男子3人は日本で見せるような安定感は感じられませんでしたね。慣れない雰囲気からでしょうか。女子は二人とも何度も海外で試合をしているので、落ち着いた雰囲気でした。浅野選手は1回戦敗退で寒さにやられたのか、いい所が無かった。大内選手はこの日良かったですよ。1回戦・2回戦共にT20のまわりにダーツが非常に集まっていて、調子は良さそうでした。3回戦で2年前の優勝者Linda Ithurraldeと。お互いに100点以上を連発の凄いダーツでしたが4-3で勝利。この勢いで行きたい。しかしBest16の対戦ではT20のまわりにダーツは集まっているのに全て外。後ろから見ている私には140点か100点のように見えたのですが、スコアは60点。本当にアンラッキーでした。あと2つ勝てばステージだったのですが残念。この日は会場で試合を見ていると、昨年会った選手や各国のマネージャーが覚えていてくれて声をかけてくれたのが嬉しかった。特にオランダの女子選手のマネージャーは、昨年小峯尚子を凄く褒めてくれて、彼女の試合後負けた相手の応援者に私が絡まれていたら、仲裁に入ってくれたりして世話になった人。お互い顔が合ったら思わず抱き合ってしまいました。私は全く英語は出来ないのですが、言葉はなくても自然とそんな雰囲気になるものですね。そのマネージャーが応援している選手と大内選手が2回戦で対戦したんです。この試合後は勝って握手が出来ました。麻由美ちゃん、ありがとう。

 2日目は同じ会場でLakeside Playoffが。このLakeside Playoffは来年の初旬に開催される、BDO World Championshipの予選会。BDOの大会としては最高峰の大会で、日本人は参加経験の無い大会。是非とも出場権をゲットして欲しい。男子は眞田選手と清水選手が初戦敗退。清水選手は自分の会社でスポンサードしている選手で頑張って欲しかったのですが、2日とも精彩を欠くダーツでした。新垣選手は一回戦を突破。今回他の4選手は関東に居てJSFDやD-Crownで常に顔をあわせているのですが、新垣選手は沖縄にいてPerfectに参戦している為、他の選手とは初対面。大会の雰囲気を教えてくれる経験者もなく、試合以外の部分で非常に大変だったと思います。実はPerfectで開催したWorld Masters予選も私は観戦しに行っていたので、挨拶くらいしてくれば良かったと後で反省。ともかく一度でも勝ってくれて良かったと胸を撫で下ろしました。女子の方はこの日、浅野選手が良かった。試合が進むにつれ調子が上がってきて、Best16で昨年のユースチャンピオンを赤子の手をひねるようにストレートで勝利。140点を連発して男子選手から「男子に出てもかなり勝てるよ」と声が上がるほど。この頃になると観客も増えてきて、試合後何人かに「彼女はグレイトだ!」みたいな事を言われました。いや、本当に凄かった。準々決勝はイングランドの選手と対戦。近所から来たかのような雰囲気のおばちゃんでしたが、これがまた入れるんですよ。全く上手そうに見えないのに、ダブルも1本か2本で入れてしまう。いい試合でしたが、一つ前の試合のようには浅野選手入らなかったですね。「普通のおばちゃんで、倒してやるって気持ちになれなかった~」と言っていましたが、確かにそんな雰囲気でした。あと2つ勝てばWorld Championshipでしたが残念。大内選手は昨日同様安定したダーツをしていましたが、二回戦でトリプルに嫌われたのか昨日の続きで60点連発。後ろから見ると入っているのになあ。残念な負け方でした。この2日間男子はシード選手は出場しませんので有名選手は見かけませんでしたが、女子は全員が予選からなので世界中のトップ選手が勢揃い。

 注目度No.1はPDCからBDOに戻ってきたロシアのAnastasia Dobromyslova。1日目はダブルが入らず二回戦敗退。その日の夜、日本人選手皆で中華料理店に向かうと目的の店からAnastasiaとIrina Armstrongが出てきました。我々が大会会場に居た事を覚えていたのか、それとも日本人が珍しかったのかウインクして手を振ってくれました。負けたショックは引きづらないのでしょうか?

2日目もAnastasiaはダブルが入らず苦しんでいましたね。でも、点取は男子並みで100点140点を連発。ダブルが少々入らなくても圧倒的な点取りで勝ち進み、BDO World Darts Championshipの出場枠を手に。注目度の高い選手が残るのはダーツファンとしても主催者としても良かったでしょう。
私も試合は見に行けませんが、HPや動画サイトでチェックしたいですね。

 

 3日目と4日目はステージ上でテレビ中継も入りながら。会場の3/4のスペースにステージが作られ、テーブルと客席がびっしりと。観客は400人以上居るんじゃないでしょうか?TVで見るPDCの会場よりは狭いですが、会場の雰囲気や盛り上がり方はあのまんま。コスプレしたり、騒いだりしながら、様々な楽しみ方で見ているんですよ。日本のダーツ観戦が映画館とするなら、イギリスでは野外フェスティバルのような雰囲気。もちろん息を飲む場面は静かになりますし、ミスをするとブーイングも。日本人選手も会場で販売していたキラキラの帽子を買って、ビールを飲みながら180が出ると180ボードを揚げて立ち上がり大いに楽しんできました。イギリスでは楽しみ方が浸透しているんでしょうし、ギャンブルの対象になっているのも選手への感情移入して盛り上がる理由でしょうか。

 2年続けてWorld Mastersを見て思った事は、男子に関して言えば私がダーツを始めた9年前と差は縮まっていないって事。縮まっていないどころか、その差は年々広がっているんじゃないかと思ってしまいました。今年優勝したScott Waitesの決勝戦でのアベレージは100点を超えているんです。彼だけじゃなく上位選手は90点以上を出していますし、予選を見ていても多くの選手が80点以上は出ていました。日本人で常に80点以上を出せる人は数える程ではないでしょうか。悔しいけれどそれが現実です。冷静に書いていますが、滅茶苦茶悔しいですよ~。逆に女子はチャンス有りですね。優勝したLisa Ashtonが70点ちょっと。常にこれが打てる女子選手だったら狙えますね。

ただ、日本国内だと競った試合をする機会が非常に少ない。もっと、全体的なレベルが上がってきて、最初から油断できない試合が増えると取れると思います。近いうちに海外の大会での日本人チャンピオンが誕生するんじゃないかと、私は期待しています。

 

 ダーツ用品の話も。長めのストレートダーツを使っている人を多く見かけました。約半数近くはストレートダーツじゃないかな。そしてシャフトも長く、日本人では考えられないような長さのセッティングの選手も見かけましたね。日本ではソフトダーツから始める人が多いので、重量制限の関係から短めのバレルにインビトのシャフトのセッティングが主流。正直な所日本人は飛ばすのが下手な人が多いですね。短いセッティングは勝手に飛んでくれますから。海外で長くて細いのが多いのは「細い方がグルーピングしやすい」って発想なんでしょうか?

 フライトは今年と昨年で大きく変わった印象です。昨年はDXMやスリムを使っている選手を多く見かけたのですが、今年はDXMやスリムはあまり見かけませんでした。プロの間でもPhil Taylorの影響は有るんでしょうね。昨年は色々試してみて、結果空気抵抗が少なすぎて大きいフライトに戻した選手が多いのでしょうか?そう、日本のFlight-LやFit Flightを知っている選手もいて、話しかけられた日本人選手もいました。最初から十字に作られているフライトは、今後世界的に評価が高まると思います。バレルで海外進出はプライス的に難しくても、フライトは日本のメーカーにもチャンス有りだと感じますね。

 アクセサリー類やケースも日本の物は便利に考えられていますし、カラフルでお洒落です。その辺も数年後に日本の物が世界的に人気なんて事も有りそうです。

 しかし、技術的な面では我々はもっと研究していかなければならないのも感じました。トップ選手の多くは意図してダーツに左回転をかけています。その意図がはっきりと分かる人がいない。スタッキングのテクニックも理論がはっきりしていない。それと、スローのリズムが違うんですよね。日本人に比べてスローが非常に早い。1本目の後の2本目3本目は特に。その辺の理由も筋肉や脳のメカニズムから、なにか理由があるのではないかと思うんですよ。その辺含め日本人は多々勉強しなくてはならない事が有るんじゃないかな。ダーツの技術書があれば、翻訳して発表してくれる人いないですかね?New Darts Lifeで機会があればやって欲しいなあ。

ダーツ屋どっとこむ よろしくお願いいたします
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